どこかの元T大生の思考

不定期です。旅行と考えることが好きな元T大生が、たまーに駄文を公開します。旅の記録を語る[旅]、何かに対する見解や主張をぶつける[論]、自分の生き方について思いを巡らせる[憂]、趣味などについて書き散らす[雑]の4つのカテゴリーで。

[旅1]限界鉄道旅行の原点ー高2夏の西日本行き

昨日とは打って変わって、昔の旅行の記録をお送りするよ。ただの記録だよ。3年前を思い出すよ。読む価値は昨日のと比べ低いだろうけど、読んでくれたら嬉しいかも。

 

 

 

みなさんご存知かと思うが、私は鉄道旅行が好きだ。自身が運転することなく、ただ乗っているだけで日本中のあらゆる地域へ、比較的安価で向かうことができる。長時間の乗車を苦痛に感じない私としては、とりわけ鈍行列車ばかり使う「限界」鉄道旅行が非常に楽しいものである。

 


私にとって、この限界鉄道旅行の原点となったのは、高2の夏休みに行った西日本旅行(?)である。(?)ってついてるけど、まあ1日目と5日目は関東を移動してたからね。2016年8月3日(水)から7日(日)の5日間で行った。

これは一応、高校の総合的な学習の一環として行われた。…っていうと「???」ってなる人が多いと思うけど、要は大学でいうゼミみたいなのが高2の1学期に開講されて、その中で「予算3万以内で青春18きっぷを使った旅行をし、考察する」ってのがあったってわけ。それで、同じクイズ研究会所属(私は高校時代クイ研に所属していた)の2人を連れ、私含めて3人で決行した。

大まかな旅程は、

〈8/3〉埼玉県の自宅→宇都宮→東京→(ムーンライトながら

〈8/4〉(ムーンライトながら)→大垣→姫路→琴平→高松→岡山

〈8/5〉岡山→広島→宮島→神戸

〈8/6〉神戸→大阪市内→大垣→(ムーンライトながら

〈8/7〉(ムーンライトながら)→東京→上総亀山(笑)→銚子→埼玉県の自宅

である。我ながら、なかなか謎な旅程であったことよ。

ちなみに、私自身はこの5日間の旅行を3万円以内で済ませることができた。それほど苦労したわけではない。

 


準備段階。ムーンライトながらの存在を知った私は、低予算で長めの旅行を行うなら使うしかない!と思い、西日本に行くことを決定した。それまで大阪以西には広島を除き行ったことがなく、この機会に訪れたかったというのも理由としてあげられる。

しかし日時の決定は遅れた。いつのまにか7/3を過ぎ、行きのムーンライトながらの予約が始まって席が埋まりつつあった。

そこに舞い降りたのが、8/3にクイズの例会(各高校が持ち回りで行う、大会みたいなもの)が宇都宮高校主催で雀宮で行われる、との情報である。宇都宮は埼玉から結構遠いため、通常の交通費が結構な額になる。そこで8/3に青春18きっぷを使ってしまおうではないか、という考えが爆誕した。例会から帰り東京に向かって、そこから西へ向かおうという計画である。

急いで8/3の東京→大垣、8/6の大垣→東京のムーンライトながら指定席券を確保した。3人分、近い席で。今思い返すと、あの頃の自分はとてつもなく幸運だったようだ。あの時期に3人もの席を確保できるなんて。あそこで席を取れてなかったらと考えるとゾッとする。

 


1日目。

まずは自宅から雀宮駅に向かう。途中の大宮駅で旅の大荷物をコインロッカーに預け、宇都宮線に乗り込んだ。結構長かったけど、後にもっと長い旅を控えた自分としては苦痛ではなかった。雀宮駅の駅前は居酒屋とコンビニだけだった。

駅近の市立図書館的なところで、クイズの例会を楽しんだ。確か私、3rd roundで落ちたんだっけか。敗者復活戦である程度いいところまで行ったけど、結局落ちたんだっけか。まあ楽しかった。

終わるとクイ研の2年生たちで宇都宮駅に向かい、東口のみんみんで餃子を堪能した。餃子の写真を送った瞬間「みんみん?」と聞いてくる栃木県出身の母親、さすが強い()。f:id:utok_travelandthinking:20190726201738j:image

そこから宇都宮線で東京駅まで向かい、東京駅で1時間半ほど適当に時間を潰した。なんか地下街を歩いてたら時間が潰れた気が。

そして23:10発の大垣行きに乗り込み、西へと向かった。初の夜行列車。私は子どもみたいにワクワクしていた。そして車内で数学の課題を進めていた()。

 


2日目。

名古屋の南方、笠寺あたりで一旦目を覚ます。そして二度寝し、気づいたら岐阜。しばらくすると終点・大垣にたどり着いた。

大垣といえば「大垣ダッシュ」。しかし我々は走るのを面倒に感じたため、のんびりと向かうことにした。大垣駅北口前の今はなきサークルKに寄り、一本遅い米原行きで近畿地方に入った。

米原からの新快速は、結構な人がすでに乗っており座れなかった。とりあえず京都駅で下車し、駅そばでうどん(ここ重要)を堪能。f:id:utok_travelandthinking:20190726201049j:imageそこからまた新快速で姫路に向かい、大阪到着以降にようやく座れるようになった。関東ほどじゃないけど、やっぱ人多いよな。

姫路。大荷物を持って、姫路城に向かった。それにしても姫路城の駅から見た時のわかりやすさよ。城は予想通り階段等が多く、大荷物を持っている身としては結構苦痛であった。ケチなので()コインロッカーを使わなかったのである。しかし「白鷺城」とも呼ばれる姫路城の美しさ、そして城から一望できる姫路の街の景色を目の当たりにし、荷物の重さなど気にならなくなっていた。さすが世界遺産なだけあるよね、城郭の構造も天守閣も全てが美しい。f:id:utok_travelandthinking:20190726201100j:image

姫路駅で駅弁「あなごめし」を購入し、岡山行きに乗る。ちなみにこのあなごめし1,000円が、この旅で最も高額なご飯となった()。いやケチすぎないか自分……まあ予算3万の制約があるからしゃあないけどさ。f:id:utok_travelandthinking:20190726201118j:image

岡山から快速マリンライナーに乗り、瀬戸大橋を渡って四国入り。海なし県の埼玉県民にとって、晴天の瀬戸内海の美しさは見とれてしまうに十分であった。そこから坂出、多度津と乗り換え琴平に向かう。

琴平ではさすがに荷物をコインロッカーに預け、「こんぴらさん」こと金刀比羅宮へ。長い石段はまあまあしんどかったけど、本殿あたりから見る讃岐平野の景色は壮観だった。f:id:utok_travelandthinking:20190726201132j:image
f:id:utok_travelandthinking:20190726201136j:image同行者の上る速度が遅かったので先に行くという、思いやりのかけらもない行動をしていたようだ()。そしてスピード参拝に成功した。

そこから多度津乗り換えを経て、高松へ向かう。高松では駅前のうどん屋でうどん(またかよ!)を堪能しに行った。

……ここである重大な問題が発生する。うどん屋で会計を済ませようと鞄の中の財布を探した私だが、なんと財布がなかったのだ。青春18きっぷとキャッシュカード、そして1万円程の現金が入っている。ほかに鞄の底に隠し持っていた1万円があったとはいえ、この財布を失っては旅の続行などできるはずがない。焦った。自分の行動を思い返した。そうだ、高松駅でトイレに行っていたじゃん。あそこに置いてきたのかな。同行者に悟られないよう平静を装いつつ、大急ぎで店を出てトイレに向かった。ところがトイレに財布はなかった。駅窓口へと向かった。財布をトイレで失くした旨を伝えた。すると黒い長財布が出てきた。それは私のだった。本人確認をして受け取り、ほっと息をつく暇もなく店舗に大急ぎで戻った。代金を支払った。そして平静を装い、頼んだうどんを食べた。慌てすぎて、その時のうどんの味はよく覚えていない。あれは間違いなく高校生時代で一番危機を感じた瞬間であった。

気を取り直しうどんを完食すると、高松駅セブンイレブンでお土産を購入。確かまんじゅうだった。そしてマリンライナーに乗り岡山へ戻る。

岡山に着くと路面電車に乗り込み、後楽園の方向へ。その時の後楽園は夜間開園を行っており、キツキツのスケジュールの中で奇跡的に訪れることができた。園内に散りばめられた数々の灯りと背後でライトアップされた岡山城が織りなす夜の後楽園の風景は、日本庭園の良さをわかっていないひよっこ高校生ながらもなかなかに美しく感じた。写真は下手くそだったけど。そしてお土産の吉備団子を買った。f:id:utok_travelandthinking:20190726201158j:image

園内を楽しんだら、徒歩でカプセルホテルへ。いろいろあった1日を振り返りつつ、眠りについた。

 


3日目。

予定より起きるのが遅れた。まあ絶起みたいなもんだ。でも目覚ましかけてなかったんだからしょうがねえ。

ゆで卵とトーストの軽い無料朝食をホテルで済ませ、チェックアウトして岡山駅へ。岡山駅から、三原への乗り換えを経て広島駅へ向かった。黄色い電車。

広島駅からは広島電鉄路面電車)で、まずは原爆ドームと平和記念資料館へ。凄惨な資料の数々を目にして言葉を失った。無学な高校生ながら、感じるものは多かった。ちょうどこの日は8/6の平和記念式典の前日で(だから広島で安い宿が取れなかった)、平和祈念公園では式典の準備がされていたのが印象深い。とても晴れた日であった。f:id:utok_travelandthinking:20190726201210j:image
f:id:utok_travelandthinking:20190726201214j:image

そこから広島電鉄で宮島口へ行き、宮島口から宮島航路安芸の宮島へと渡った。本州・四国・北海道以外の自然島では自分史上初めての上陸だった説。厳島神社は美しかった(小並)。船から眺めた大鳥居も美しかった(小並)。f:id:utok_travelandthinking:20190726201227j:image
f:id:utok_travelandthinking:20190726201224j:image昼食はここで調達したけど、高かったのでやめた。

宮島航路で本州に戻り、山陽本線で広島駅へ。そして昼食の大関むすび(670円)を購入。f:id:utok_travelandthinking:20190726201240j:image駅弁買いたかったんだよ、でも他の駅弁が高かったんだよ、しょうがないだろ。普通に美味しかった。あともみじ饅頭も買った。

そこからは山陽本線をひたすら東へ。三原、岡山、姫路で乗り換え神戸駅へ向かう。岡山で着席に失敗し、1時間半地獄を味わった。ありゃ今後の教訓だ、なんであんなところに乗客があんないるんかいな。

神戸駅から少し歩いた新開地、カプセルホテルへ。同行者の1人がオススメしていたご飯屋に行こうとしたが「めんどくさい」「夕飯いらん」とか言い出したので諦め、近くのコンビニで夕食を調達。新開地で午後10時以降に高校生だけで外出、男子とはいえ決して安全ではなかったよな。

ホテルの中はとても涼しかった。大移動した1日を振り返り、深い眠りについた。

 


4日目。

絶起。起きたら8時くらいだった気がする。予定ではもう少し早く出るつもりだったんだけどなぁ……。密かに考えていた「法隆寺に行く」という計画が一瞬で潰れた。

9時まで提供の朝食(有料)を済ませ、チェックアウトして神戸駅へ。f:id:utok_travelandthinking:20190726201303j:image

まずは大阪乗り換えで新今宮に向かい(内回り)、天守閣を上った。覚悟してたとはいえ天守閣は意外とショボ……いやなんでもないよ。展望台では、限界男子高校生3人衆がビリケン様の足に群がる様子を写真に撮ってもらった。天守閣でもらった金運上昇のお守り的ななにか、ほぼ3年が経つ今でも財布の中に入ってる。f:id:utok_travelandthinking:20190726201308j:image
f:id:utok_travelandthinking:20190726201313j:image

下界に降り、昼食タイム。かき氷無料券をもらった店で串カツを堪能した。その時も疑ったが、やっぱあの店高かったなぁ。まあかき氷食えたんでよかったけど。f:id:utok_travelandthinking:20190726201620j:imagef:id:utok_travelandthinking:20190726201323j:image

そこから天王寺まで歩き、あべのハルカスへ。f:id:utok_travelandthinking:20190726201341j:image展望台にも行ってみたかったが、あまりにも料金が高かったため断念。大阪環状線に乗り込み、大阪城公園に向かった。

大阪城も本来天守閣を上ろうとしたが、案の定料金が高かったので断念。……いやこの時の自分のお財布事情ショボすぎでしょ。エレベーターをつけてしまった()大阪城天守閣を外から眺めて終わった。割と虚無だった。f:id:utok_travelandthinking:20190726201352j:image

そこから京橋方面に歩き、密かに行きたがっていた卍スーパー玉出卍へ。惣菜はたしかにクッソ安かった。でもそれ以外は西友とあんま変わんなくね?…ってのが正直な感想。たしか飲み物を買った。

京橋駅から環状線内回りに乗り、今宮で関西本線に乗り換え、JR難波へ。そこから少し歩いて道頓堀に向かった。夕食は道頓堀で、昼に串カツを食べたため今度はたこ焼きを堪能した。お好み焼きはまあね、ちょっと高かったから……。例のグリコの看板も見に行ったが、なんかあんま感動できなかった()。f:id:utok_travelandthinking:20190726201405j:image
f:id:utok_travelandthinking:20190726201412j:image
f:id:utok_travelandthinking:20190726201409j:image

そこから時間潰しのため大阪環状線内回りを1周半して(すなわちこの日だけで環状線をほぼ3周した)、大阪駅から新快速で米原へ。そして大垣へ。

大垣にはムーンライトながらの出発1時間前くらいに到着し、暇を持て余した。北口のディスカウントストアで飲み物とアイスを買った。安かった。

そしてムーンライトながらに乗り込み、帰路につく。波乱に満ちた西日本旅行であった。

 


5日目。

東京駅で同行者と別れ、自分は久留里線乗りつぶし()のために総武快速で木更津へ。木更津のデイリーヤマザキで朝食を食べた。

久留里線。同じ首都圏非電化路線ながら、八高線と比べて格段に快適だった気がする。もちろん上総亀山まで行き、とんぼ返りした。上総亀山は自販機と観光マップくらいしかなかった。f:id:utok_travelandthinking:20190726201418j:image

そして木更津に戻って千葉駅に向かい、今度は成田線経由で銚子駅へ。f:id:utok_travelandthinking:20190726201431j:imageこれもまた乗りつぶし。そして時間がなかったためとんぼ返りして、成田駅に戻った。

成田駅近くのマックで昼食(と携帯の充電)を済ませ、成田線我孫子支線我孫子へ。もちろんかの下総松崎も通った()。我孫子からは常磐線各駅停車武蔵野線北朝霞に向かい、そこから東上線で帰宅。帰宅後は町の夏祭りに顔を出し、ひさびさに中学同期と会ってきた。

房総半島で「乗りつぶし」をガチでやった1日であった。

こうしていろいろあった5日間の旅は幕を閉じた。

 


結局、5日間で使った金は切符・土産・宿代全て含め28,000円ほどであった。目標は達成された。

関東に戻ったあとの夏休み、旅を思い返して楽しい気持ちになりながら、先生に提出する用の論文的なやつ(実際はほぼ旅行記と教訓述べただけ)を書いていた。

 


この旅が、青春18きっぷを初めて使った旅であった。そして限界旅行の原点となった。

すべてはここから始まった、のかもしれない。

 


次の鉄道旅行は、これと同様のプログラムで仙台に行った2016年冬となる。

 


それでは、また来週の月曜日。お楽しみに。