どこかの元T大生の思考

不定期です。旅行と考えることが好きな元T大生が、たまーに駄文を公開します。旅の記録を語る[旅]、何かに対する見解や主張をぶつける[論]、自分の生き方について思いを巡らせる[憂]、趣味などについて書き散らす[雑]の4つのカテゴリーで。

[旅2]初の本格的ひとり旅、高2冬の仙台

仙台に行くのに、わざわざ謎のルートを使った話。

 

 

 

先週金曜日に書いた通り、私の高校では2年生の総合的な学習の一環として、いわゆるゼミみたいなプログラムが開講されていた。

これは1学期と2学期で別々に開講されていた。私は1学期には「青春18きっぷを用いた予算3万以内の旅」を選んだが、2学期には「城下町の研究」というのを選んだ。実際に日本の城下町をもととする都市に行ってみて、遺構やまちづくりへの影響を考察してみるというものである。

その研究対象として、私は仙台を選んだ。理由は単純だ、単に「北のほうに行きたかったから」である。ということで、ある程度有名かつ他の生徒とかぶらない仙台に行くことにした(会津若松は被った)。

城下町は冬休みに訪問してみることとなっていたので、2016年12月28日(水)から30日(金)で決行した。27日はクイズの例会があって仙台に向かえなかったのである。結果として、28日以降年末年始で閉館する仙台市図書館と仙台市博物館には入ることができず、結構メンブレした。

旅程は、

〈12/28〉

埼玉県の自宅(宇都宮線とか)小山(水戸線)友部(常磐線)水戸(水郡線)郡山(東北本線)福島(阿武隈急行線)槻木(東北本線)仙台/仙台では夕方の仙台城跡へ

〈12/29〉

あおば通仙石線多賀城仙石線)松島海岸(徒歩)松島(東北本線)仙台/仙台ではシェアサイクルで辻標を巡る

〈12/30〉

仙台でバスを使い観光/仙台(東北本線)黒磯(宇都宮線)宇都宮

である。宇都宮終わりの理由は後述。…さて、書き方が乗り鉄っぽくなっているぞ?

実は泊まりのある完全なひとり旅はこれが初めてで、存分に自分の趣味「乗りつぶし」を含めようと思ったのである。

 


準備段階。新幹線で行っても面白くないだろう、という限界みたいな発想に至り、「じゃあ水郡線にでも乗ってみるか!」「ついでに阿武急も乗りつぶしてみるか!」という常人には理解不能な選択をした。冬休みで18きっぷ5回分を使い切る予定はなく、また学割の切符や仙台まるごとパスを使った方が安上がりで済むと考えて、18きっぷを使わない方針にしたのに。

とりあえず、「川越→福島(水戸線水郡線経由)」と「白石→宇都宮」の学割切符を購入することにし、高校で学割の申請をした。その時は所定の用紙に経路・目的を記入して担任に渡すシステムだったのだが、担任は謎の行程を見て怪訝そうな顔をしていた。そりゃそうだ。ちなみにこの時はまだ、仙台に到着後何をしようか決めていなかった。

 


1日目。

埼玉県の自宅を出て、まずはとりあえず小山へ向かう。f:id:utok_travelandthinking:20190729211220j:image

すると小山駅で、鳴り響く騒がしいサイレンの音と「火事です、火事です」という自動アナウンスが耳に入った。なんか消防系の設備の故障っぽかったが、とにかくうるさかったし本当に火災が起こったのではないかと心配した。なんもなくてよかったわ。旅の初っ端からアクシデントである。

そこから水戸へ。水戸駅で改札外に出て、そこでようやく2017年の年賀状をポストに投函した。…いやなんで埼玉で投函しなかったんだよ。郵便の仕事増やしてるだけじゃないかよ。f:id:utok_travelandthinking:20190729211229j:image

水戸からは水郡線でゆっくり郡山に向かう。久留里線と同じく優れた車両(私は鉄道車両には詳しくないので、こんくらいしか感想がない)で、うちの近くの八高線はあんなショボいのになんでだよ〜〜〜と嫉妬しかけたものである。f:id:utok_travelandthinking:20190729211244j:image車内で「大学入試の小説の解き方」的な本を読みながら、茨城県の奥地へと進んでいった。

郡山に到着後、昼食。駅そばのうどんである。これにより、なぜか「個人旅行の最初はうどん!」という謎のルーティーンが生まれかけた。まあそんなのすぐ壊れたけど。郡山は幼稚園くらいの時に祖父の引率で来たことがあるらしく、その時ぶりであった。

そこから福島駅に向かい、阿武隈急行線に乗り換える。f:id:utok_travelandthinking:20190729210738j:image正直に言おう、単に乗りつぶしたかっただけだ。阿武急はトンネルが多くて電波が途切れやすいうえ景色も取りづらく、当時多少不快に感じたものだ。そして、駅名の長い「やながわ希望の森公園前駅」を通れたのがなぜかとても嬉しかった記憶がある。

槻木で乗り換え、仙台駅へ。たしか昼3時半くらいだった。仙台到着後のプランは決めていなかったため、しばらくはうろちょろしていた気がする。

とりあえず仙台城跡まで歩いてみた。3kmくらいで思ったよりも長かった(まあこんくらい今となっちゃ余裕だけどネ)。途中で城下町時代の仙台の中心「芭蕉の辻」にも寄った。f:id:utok_travelandthinking:20190729210758j:imageそして城跡の高台に着いた時はもう夕方で、仙台の夜景が綺麗だった。f:id:utok_travelandthinking:20190729210927j:imagef:id:utok_travelandthinking:20190729210822j:image
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その時は私以外に大学生と思わしき集団しかいなかった。私だけ明らかに浮いていた。なんかその大学生集団が「冴えないADみたい」という言葉を発するのが聞こえた。私の格好のことだろうか。たしかにその時の私は大きなボストンバッグを抱えていた。突然恥ずかしくなったと同時に、「大学生」というものに謎の抵抗を感じ始めた。今思えば可愛いものである。

歩いて仙台中心街に戻り、カプセルホテルにチェックインした。そして夜の仙台の街に繰り出し、適当にラーメンで夕食を済まし、美しき光のページェントを見て、今はなき「さくら野百貨店」の書店で仙台関連の書籍を漁った。いいのは見つかったが高く、どうしても買う気にはならなかった。f:id:utok_travelandthinking:20190729210835j:image

ホテルに戻ってからの夜。論文的なやつを書くくせになんの資料もないことに危機感を抱いた私は、近隣の図書館を探し始めた。まあ空いている図書館に行けば歴史史料(資料)とか得られるだろうと思ったからである。しかし年末年始で、仙台市はじめ多くの図書館が閉館している。

…そこに突然現れた救世主が「多賀城市立図書館」であった。TSUTAYAでおなじみのカルチュア・コンビニエンス・ストア(CCC)が運営する図書館で、年末年始も気にせず無休で営業していたのだ。図書館運営の民間委託には激しい疑問を抱いていた私であったが、この時だけは激しくCCCに感謝した。…この「年末年始も営業している」ってのが民間のいいところであり、悪いところでもあるのだろう。

 


2日目。

朝食はたしか松屋だった(どうでもいい)。

仙台近郊の鉄道・バスとかが2日間乗り放題になる「仙台まるごとパス」なるものを購入し、あおば通駅から仙石線多賀城駅に向かった。図書館がガチの駅前で非常に助かった。

仙台について書いた本とか歴史史料的なやつを、必死になって探した。そしたら古地図的なやつが見つかった。本当に有能だった。そのほかに4冊くらいの本を漁り、重要なところをメモして論文的なやつに役立てた。

そしてこの時に初めて「辻標」なるものを知った。「辻標」とは城下町仙台の通りの名を示した石造りのオブジェクトで、一般に南北方向と東西方向の通りの名・それに関するエピソードが4面に彫られていた。f:id:utok_travelandthinking:20190729210854j:imageこれがこの日の午後の行動に深く関わり、また論文的なやつに大きな影響をもたらすことになる。

満足して多賀城市立図書館を出て、仙石線で松島海岸駅へと向かった。松島海岸駅と松島駅が、仙台まるごとパスの利用可能区間の端っこだったのである。…報われない高城町。当然松島観光をし、「これって本当に日本三景っていうほど景勝地なのか?」などと思いながら松島の風景を堪能した。空が青く澄み切っていた、清々しい冬の日であった。f:id:utok_travelandthinking:20190729210911j:imageちなみに昼食はケチってコンビニパンで済ませた。アホか。

のんびりしていたら時間がなくなり、松島駅を出る次の東北本線に乗れるか危うくなった。旅先にて走ることとなった。…なんとか間に合った。あそこ、仙台から近いくせになんでこんな本数無いんだよ。松島駅は思ったよりショボ…いやなんでもない。

仙台駅に戻ると、シェアサイクルを使って辻標めぐりを始めた。88箇所もあるというから面白い。もちろん全部は回れなかったので、旧奥州街道沿いだけは制覇することになった。あとは気になる地形があるところとかに行った。…しかしこれが意外としんどかった。旅先でチャリでこんなに体力を使うとは。

夜になって中心街に戻り、ホテル(昨日とは別)にチェックインすると、1人で夜の国分町(東北一の繁華街)に繰り出すという半ば愚行をやらかした。何もなくてよかった。とりあえず、ちょっと外れたところにある牛タン屋で牛タンを堪能した。高校生には安くない出費だったが、とても美味しかった。f:id:utok_travelandthinking:20190729210950j:image

…これで帰るかと思いきや、私は勾当台公園駅へと向かったのである。そして突然仙台市営地下鉄南北線乗りつぶしを始めた。だって仙台まるごとパスの有効区間だったんだもん。まず泉中央(北側)に向かい、それから富沢(南側)に向かった。本当に乗りつぶすだけだった。みなからしたら「何やってんだコイツ」状態だろう。f:id:utok_travelandthinking:20190729211016j:image
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ホテルに戻り、翌日の乗りつぶし計画()を考えてから眠りについた。

 


3日目。

5時くらいに起き、仙台駅から仙山線始発列車に乗って、おとなり山形市山寺駅へと向かった。何を隠そう、山寺駅仙台まるごとパスの利用可能区間の西端だったのである。…しかし立石寺(山寺)観光などはせず、玉こんにゃくを買うこともなく、とんぼ返りした。我ながらあの時の行動は謎だ。とりあえず、どこも雪に覆われて綺麗だった。ちなみに仙台市街に雪はなかった。f:id:utok_travelandthinking:20190729211020j:image

仙台駅に戻ると朝食。仙台朝市的なやつで済ませたかったが時間的に難しく、止むを得ずたしかマックになった。2日目もだが、まったく面白みのねえ朝食だな。

そして「るーぷる仙台」という周遊バスに乗って仙台観光へ。f:id:utok_travelandthinking:20190729211119j:imageそもそも年末年始で開いているところが少なかったため、瑞鳳殿(伊達家三藩主の霊屋)と仙台城跡・青葉城資料展示館に行くことにした。まずは瑞鳳殿で、よく覚えてないけど豪華さに感動した気がする(小並感)。f:id:utok_travelandthinking:20190729211132j:imageそして仙台城跡、昼間に俯瞰する仙台の街並みもまた良い。資料館も論文的なやつに役立ちそうだった(小並感)。f:id:utok_travelandthinking:20190729211154j:image
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観光が終わると、川内駅から仙台市営地下鉄東西線で仙台駅に戻る。本来仙台駅で切符の購入or昼食の調達をしようと思ったが、時間に余裕がなく両方断念した。お土産だけ買った。

そして東北本線で白石へ。白石駅仙台まるごとパスの利用可能区間の南端だったため、とりあえずここまで行って白石駅みどりの窓口で学割切符を買おうと思ったのである。だって仙台駅のみどりの窓口、ありえん混んでたんだもん。そして白石駅の近くででコンビニ弁当を買った。…まったく面白みのない昼食だな!!!f:id:utok_travelandthinking:20190729211202j:image

それから福島・郡山・黒磯での乗り換えを経て(当時は交直流は黒磯駅地上切替方式だった)、宇都宮へ。宇都宮が最終目的地なのは、栃木にある祖母家(母方の実家)に行くことになっていたからである。宇都宮駅まで叔父に迎えに来てもらい、そこから祖母家に向かった。

 


こうして、特に面白みのない3日間の限界旅行が終わった。

 


次は1年以上飛んで、高校卒業後の2018年3月の三重・愛知・長野・山梨周辺旅行。

それではまた水曜。