どこかの元T大生の思考

不定期です。旅行と考えることが好きな元T大生が、たまーに駄文を公開します。旅の記録を語る[旅]、何かに対する見解や主張をぶつける[論]、自分の生き方について思いを巡らせる[憂]、趣味などについて書き散らす[雑]の4つのカテゴリーで。

[雑30]聖地雑感

聖地巡礼

 

 

巡礼対象

本来の意味は「宗教的に意味のあるところを詣でることで聖なるものに接近しようとする宗教的行動」なのだろうが、今や「作品の舞台あるいはモデルとなった場所を訪れ楽しむ趣味的行動」という意味で使われることの方が、むしろ多いような気がする。

さらに意味を広げれば、「何らかの出来事が生じた場所を訪問すること」であれば「聖地巡礼」とみなすことも、できるかもしれない。(例えば私は「金融関連のニュースでよく写真が出てくる、豊洲のメガバン3行+りそなの看板が並んだ景色」を「聖地巡礼」したことがある。)

 

私はそれなりにアニメ作品を視聴するし、旅が好きなので、「作品の舞台あるいはモデルとなった場所を訪れ楽しむ趣味的行動」という意味での聖地巡礼をすることがそれなりにある。

そして聖地巡礼というのは、なんというか、楽しい。

 

 

何が楽しいのか?

 

よくよく考えてみると、その楽しさには、以下の3点があるような気がする。

 

・魅力的だと感じた景色の実在を確認できる

美しい景色が描かれている際、その景色は「魅力的」である。もっと広げて、自分にとって魅力的な作品に描かれている景色、それだけで「魅力的」に感じられることも十分あるだろう。

これは、現代の一般的な「観光」にも言えることだと思う。社会科学寄りの観光学では、現代のツーリズムについて「未知の場所を楽しむ」でなく「既知の場所を追認に行く」という意味合いを有する、といったような分析があった気がする。すなわち現代の観光は、ガイドマップなどであらかじめ情報を仕入れた上で実行されるものであり、それが楽しいとされる、ということだ。

 

・自分の好きなものへの愛が感じられる

これ、結構大きいんじゃないかと思う。

今やコンテンツツーリズムは一般的となり、「聖地」となった多くの地域は「聖地」であることをアピールするようになった。そのアピールは、いわば当該作品への「愛」の現れである。その作品を好きな人にとって、「愛」が表されている状況というのは、「自分の好きなものが愛されてる」というのが明確に分かる非常に嬉しい環境である、そうじゃないだろうか。

事実、私は飯能に行った時も館林に行った時も湯涌温泉に行った時も、そう感じた。

 

・珍しいものが見られる

上のような考え方が少し歪むと、「作品で観光振興を図ろうとしている滑稽な光景が見られる」という考え方になる。特に自分が触れているわけでない作品の聖地なら、こう考えるのも無理ない気がする。

事実、私は竹原に行った時、そう感じた。

 

 

これも、もしや「聖地」?

 

聖地巡礼」といって想像されやすいのは『らき⭐︎すた』の鷲宮神社だの『ガールズ&パンツァー』の大洗だのだと思うが、以下のパターンも広義には聖地巡礼なのでは?という気がする。

 

・ご当地作品

『お前らはまだグンマを知らない』だの『八十亀ちゃんかんさつにっき』(名古屋)だの。『翔んで埼玉』もかも。「聖地」を見つけるのに必要な労力がゼロ。

 

自治体コラボ

『邪神ちゃんドロップキック’』(千歳)だの『宇崎ちゃんは遊びたい!』(鳥取)だの。作品自体の舞台は違うはずだけど、謎の力により聖地となります。

 

・違う時代

新世界より』の舞台は「神栖66町」だが、これは1000年後の日本。この場合、神栖は聖地になるのだろうか……?

 

・登場人物の名前

琴浦さん』は、鳥取県東伯郡琴浦町から。登場人物に「室戸」がいるけど、これも高知県室戸市からのはず。また『ReLIFE』に至っては、海崎・日代・夜明・小野屋・狩生・大神・朝地・犬飼・玉来・天津・宇佐・佐伯・天ヶ瀬全部大分県内のJR九州駅名。

 

 

聖地紹介

 

さて聖地といってもいろいろあるが、私が実際に聖地巡礼したことがある、あるいは旅する中で「聖地」だとPRされている様子を見たことがある、そのような場所の一部をここで紹介してみようか。私の主観とともに。

……あらゆる作品を観ているわけではないので、有名どころでも抜けているところがあります。許してください。あと、あまりにも該当作品が多すぎるので東京都区部は省略します。

 

分類は以下の通り。

・舞台/モデル:作中に登場する地域について、それが実在する場合は「舞台」、それが実在する地域をモデルとする場合は「モデル」。

・忠実/改変:実在する地域に忠実な描写がなされる場合は「忠実」、それほどでもない場合は「改変」。

・SS/S/A/B/C:その地域の、「聖地」PRにかける熱量。主観。

 

旭川(北海道旭川市

作品:『櫻子さんの足下には死体が埋まっている

舞台/忠実/C

かつて「訪れる日本のアニメ聖地88」に選ばれたこともあるっぽい。しかし今は選ばれていないし、地域が全然PRしてないから(まあそれなりに古い作品だしねえ……)、行っただけではなかなか聖地であることに気づけない。ただ、作中の描写そっくりの光景が確かに存在する。

 

東北、『ふらいんぐうぃっち』の弘前は放送以降だと冬しか観光してない、仙台の『Wake Up, Girls!』は未視聴で聖地巡礼どころじゃない、何も語れない……。

 

○館林(群馬県館林市

作品:『宇宙よりも遠い場所

舞台/忠実/A

「訪れる日本のアニメ聖地88」現役。超絶感動最高世界一アニメ(主観)の聖地。マジで全人類この作品を観ような。作中にも登場する公園に、オタクホイホイの施設(グッズとか売ってる)がある。というか駅前の観光協会にもキャラの等身大パネルがある。めぐっちゃんのよく行くカフェは駅前。館林は南極というもう一つの代表的聖地より10000000000000倍行きやすい。ちなみに他にも立川やシンガポールフリーマントル(オーストラリア)が聖地。

 

○大洗(茨城県東茨城郡大洗町

作品:『ガールズ&パンツァー』

舞台/改変/SS

この地域なしでコンテンツツーリズムを語ることはできないだろう。おそらく日本で最もアニメによる地域おこしに成功した地域。大洗の中心市街地を歩いているとそこらじゅうにキャラの等身大パネルがある、と言うと過言かもしれないがそれくらいとにかく地域の愛がすごい。学園艦なんて実際に存在しないから「改変」とはしたが、かなり現実の大洗町に忠実な描写がなされている。鹿島臨海鉄道大洗鹿島線にはラッピング車両あり。

 

○旧下里分校(埼玉県比企郡小川町)

作品:『のんのんびより

モデル(旭丘分校)/改変/C

アクセスの悪さとPRの割に、かなりの観光客がいると思われる。というかここは作品の聖地だと知らない人にも観光地としてウケてる。確か作品のメインのモデルは岡山県津山市

 

○飯能(埼玉県飯能市)など

作品:『ヤマノススメ

舞台/忠実/S

祝・アニメ4期放送。聖地巡礼マップが現地で配布されていた記憶。サードシーズン放映直後には、スタンプラリーをやっていた。商店街にキャラの等身大パネルあり。商店街といえば、「タイムズマート」がすごい。国際興業バスの一部車両がラッピングされてる。あおいたちの通う高校のモデルは飯能の聖望学園。飯能ほか、作中で描かれる山や地域は当然すべて実在。サードシーズンOPには西武鉄道の車両がガッツリ登場。

 

秩父(埼玉県秩父市

作品:『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

舞台/忠実/S

西武鉄道が力を入れている作品といえばこれ。秩父以外に、飯能駅にも聖地となるベンチあり。『心が叫びたがっているんだ。』『空の青さを知る人よ』とともに「秩父三部作」として知られ、秩父市の力の入れようもなかなか。現地で聖地巡礼マップが配られていた。旧秩父橋とか、まんまそのまま。秩父鉄道秩父駅ではグッズを販売していた(私はアクスタを買った)。

 

○川越(埼玉県川越市

作品:『月がきれい

舞台/忠実/B

異常西武鉄道(褒め言葉)は本川越駅にラッピング自販機を置いている。ただし川越はそれだけで一大観光地だからか、地域のコンテンツツーリズムへの力の入れようは他の地域に劣るか。川越は『神様はじめました』の聖地でもあり、『恋する小惑星』でも登場する。

 

聖地だらけの埼玉県、これ以外にも『ブルーサーマル』(妻沼)だの『裏世界ピクニック』『弱キャラ友崎くん』『ナナマルサンバツ』『浦和の調ちゃん』(さいたま市周辺)だの『さよなら私のクラマー』(蕨)だの『冴えない彼女の育てかた』(和光市)だの『ソードアート・オンライン』(所沢)だのいろいろあって強い。

 

○立川(東京都立川市

作品:『とある魔術の禁書目録』『とある科学の超電磁砲

モデル(学園都市)/改変/B

多摩都市モノレール。立川にはラッピング自販機がある。なお治安は学園都市の10000000000000倍良い。

 

○東小金井(東京都小金井市

作品:『おちこぼれフルーツタルト』

舞台/忠実/A

ヒガコ。もはや東小金井駅そのものが聖地。下品な作品(悪口ではない)のくせに自治体(小金井市)と地域が謎にやる気あるっぽい。なお隣の武蔵野市(武蔵境)は『甘々と稲妻』『SHIROBAKO』の舞台。

 

○流山(千葉県流山市

作品:『普通の女子高生が「ろこどる」やってみた。』

モデル(流川市)/忠実/B

流鉄流山駅にキャラの等身大パネルあり(流山駅訪問時に発見)。作品未視聴なので何も語れん……。

 

○千葉(千葉県千葉市

作品:『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』

舞台/忠実/A

自治体としての千葉市秩父市飯能市ほど積極的じゃないだろうが、千葉都市モノレールJR東日本という鉄道事業者がタイアップに超絶積極的だった。千葉都市モノレールはラッピング車両が走り、声優がアナウンスをしていた。京葉線稲毛海岸駅海浜幕張駅葛西臨海公園駅(東京都江戸川区)でも駅のアナウンスを声優がしていた。なお登場人物の名前は神奈川県。

 

○館山(千葉県館山市

作品:『戦翼のシグルドリーヴァ』

舞台/改変/SS

館山駅の東西自由通路が「ようこそ館山へ!」の文字が書かれたポスターで埋め尽くされてた。鉄道で館山を訪問すればこの作品のキャラを見ずにはいられない、それほど強く主張されている。駅東口にはちゃんとキャラの等身大パネルいるし、路線バス会社は2社ともラッピングバスを走らせているし。無料配布の観光ガイドの表紙が作品のイラストになってた。今はまだ放映から2年経ってないけど、今後も館山市はこの作品に頼るのだろうか……?

 

○藤沢(神奈川県藤沢市

作品:『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

舞台/忠実/C

OPなどにガッツリ藤沢駅が登場。まんまの景色。藤沢・鎌倉は『Just Because!』『TARI TARI』『SLAM DUNK』『つり球』『ハナヤマタ』『南鎌倉高校女子自転車部』『かくしごと』など数々の作品の聖地となっているが、川越同じく地元の熱意は……。

 

湯涌温泉(石川県金沢市)・西岸駅(石川県七尾市

作品:『花咲くいろは

モデル(湯乃鷺温泉)/忠実/SS

大洗や沼津とは違う意味で、コンテンツツーリズムの特異点。作中に登場した「ぼんぼり祭り」が実際に地元のイベントとして開催されるに至った、そのレベルで地元が作品を受け入れている。湯涌温泉は観光案内所の隣「いろは館」がめちゃ充実してるし、西岸駅は駅舎内部がイラストだらけ。

 

○山梨市(山梨県山梨市)

作品:『神様になった日』

舞台/忠実/S

今の山梨市駅館山駅と同じような感じ。ポスターが目に入らないはずがない。行政、同じく山梨市が登場する『ゆるキャン△』の1000倍くらい熱量入れて聖地アピールしてる気がする。オリジナル壁紙をもらえるラリーをやっていた。なお山梨市駅は、作中に出てきた旧駅舎から改装されてしまった。

 

○身延(山梨県南巨摩郡身延町)など

作品:『ゆるキャン△

舞台/忠実/S

今、聖地巡礼が最もアツい作品の一つだと思う。高ボッチ高原はこの作品で知名度爆上げだと思う。JR東海天竜浜名湖鉄道(浜松)もガッツリ協力。ただし作品の特性上、他の作品以上に公共交通機関を用いた聖地巡礼が困難な模様。

 

○小諸(長野県小諸市

作品:『あの夏で待ってる

舞台/忠実/A 

しなの鉄道小諸駅のホームにパネルがあった。小諸とか佐久のあたりにある企業の車両だと思うけど、作品のラッピングをしたトラックを筑波で見たことがある。

 

○飛驒古川(岐阜県飛驒市)

作品:『君の名は。

舞台/忠実/S

飛驒古川駅の様子など、再現度がえげつない。私は作中にも出てくる店で五平餅を食べたことがあるし、ここで組紐体験をしたことがある。言わずもがな、東京都新宿区も聖地。なお「糸守町」自体は架空。

 

○飛驒高山(岐阜県高山市

作品:『氷菓

モデル(神山市)/忠実/S

聖地巡礼マップが現地で配布されている。あくまでも「モデル」なのだが、OPに宮川朝市の場所がガッツリ映ってるなど、聖地巡礼のしがいはめちゃくちゃある。千反田えるの飛び出し坊やがいる。

 

○沼津(静岡県沼津市

作品:『ラブライブ!サンシャイン

舞台/忠実/SS

ここも大洗同様、地元の作品愛がすごい。沼津駅南口商店街、通るだけでその愛を感じた。私が以前何気なく入った海鮮食堂には、壁一面にイラストが貼ってあった。

 

○浜松・弁天島静岡県浜松市

作品:『ガヴリールドロップアウト

モデル(舞天)/忠実/A

今年「訪れる日本のアニメ聖地88」の選定に漏れた模様。弁天島は『ゆるキャン△2』(2期)の聖地の一つであると同時に、この作品の聖地でもあり、どちらもキャラが描かれたパネルが岸に設置されている。浜松市、理解ある。弁天島駅にはポスターが貼られているのだが、めちゃくちゃ色褪せている。

 

○熊野市(三重県熊野市)

作品:『凪のあすから

モデル(鴛大師)/改変/C

地元は広報を全然していないので、ここが作品の聖地だとは調べなければ全然分からない(館山の逆)。でも、鬼ヶ城(2期OP)などガッツリ登場する箇所もある。あと「塩水あります。」の看板が、国道沿いのとある店の入り口にひっそりと掲げられてる。聖地がそれなりに分散しているくせ、列車の本数が絶望的なので、公共交通を使った聖地巡礼は絶望的。

 

○宇治(京都府宇治市

作品:『響け!ユーフォニアム

舞台/忠実/B

公共交通機関を使った聖地巡礼がかなり容易。宇治駅の目の前が聖地。京アニのお膝元・宇治市自治体としてこの作品だけを特段推している訳ではなさそう?黄前久美子の飛び出し坊やがいるが、『小林さんちのメイドラゴン』のトールの飛び出し坊やもいる。

 

○竹原(広島県竹原市

作品:『たまゆら

舞台/忠実/SS

館山の力の入れようをさらに強化したバージョン。駅前の観光案内所の入り口の上に、デカデカとイラストが描かれている。こんなの竹原のほかだと湯涌温泉しか見たことねえぞ。商店街にキャラの等身大パネルがいるなんて序の口、ここではマンホールにもキャラがいる。「竹原市」でググると、市のHPの説明文に「『たまゆら』の舞台」という文言が出てくるレベル。とにかく自治体の力の入れようが異常。

 

香川県

作品:『うどんの国の金色毛鞠

舞台/忠実/B

この作品自体、もはや香川県広報の要素がかなりある(と言ってもいわゆるご当地マンガ/アニメとは全然違う)。萌え要素の薄い作品なので、地域から嫌われる要素は他作品より少ないだろう(もっともアニメ化に際してはいろいろあったようだが)。キャラが花火大会のポスターに使われてた記憶。

 

佐賀県

作品:『ゾンビランドサガ』

舞台/忠実/A

唐津伊万里がメインの聖地だったはず。唐津駅にはパネルがあったし、伊万里駅には聖地巡礼マップが置かれてた。佐賀市の方でも、ラッピングバスが走っている模様。

 

竹富島沖縄県八重山郡竹富町

作品:『のんのんびより ばけーしょん』

舞台/忠実/C

南の島に行ったってことは作品を見れば分かるが、どこがモデルなのかは調べないと分からん。みんなが泊まっていた宿は実際にモデルがあった……が、他の作品ほど聖地巡礼は一般的じゃないのかも。ただ「訪れる日本のアニメ聖地88」に選ばれている。

 

……湯涌温泉、もう一回行きてえな。竹原、作品を視聴してからリベンジしてえな。