どこかの元T大生の思考

不定期です。旅行と考えることが好きな元T大生が、たまーに駄文を公開します。旅の記録を語る[旅]、何かに対する見解や主張をぶつける[論]、自分の生き方について思いを巡らせる[憂]、趣味などについて書き散らす[雑]の4つのカテゴリーで。

[雑40]路線バスと船だけで、東京駅から全国各地を目指そう!

最長片道切符の旅よりずっと壮大な計画の、はじまり。

 

 

目についたのは、路線バスでした

 

2022年3月17日、私は最長片道切符の旅を完遂した。先立つ3月15日には47都道府県への宿泊、そして少し過ぎた3月24日にはJR全鉄道路線(当時)の完乗を果たした。

大学卒業を目前に、大きな目標を達成した私がそこにいた。

 

それから4ヶ月が経った2022年7月。社会人になった私は、安定した収入を得るとともに、週休二日制の恩恵により学生時代より遥かに休日の確保された生活をしていた。職場の環境が良く、休日にアクティブに活動する体力も残されていた。

しかし、「47都道府県への宿泊」「JR全鉄道路線完乗」という大きな目標を失い、「学生時代のうちに」という期間目標も消滅した私は、半ば燃え尽き症候群のような状態にあった。休日も金も体力もあるのに、「今度はここに行きたい」という思いが湧いてこなかった。次なる目標が消えていたわけではないが、「国内全鉄道路線完乗」「現存十二天守全訪問」は今すぐに取り組む必要性が薄く、「国内全市町村到達」はどこから手をつければ良いか分からなかった。

 

一方で私の体は正直であった。「今度はここに行きたい」という思いは湧いてこなかったが、「どこかに行きたい」という思いは常に存在した。

そこに、私の両親のおでかけ好きが重なった。両親は関東近郊に車で日帰りで出かけるもので、私はそれについて行くことにした。ただし私は一人旅が好きなものだから、途中で降ろしてもらってそこからは一人で行動する、というスタイルを選んだ。

両親はある時は羽生駅で、ある時は本庄のスーパービバホームで私を降ろした。しかし羽生駅だと東武秩父鉄道も乗ったことあるし、本庄のスーパービバホームだと本庄駅からも少し離れている。

 

そこで目についたのが、路線バスであった。

 

 

 

路線バスで、地点と地点を結んでみましょう

 

それまでの私も、路線バスへの興味が無かったわけではなかった。20歳の代まで安くなるキャンペーンで行った小豆島と伊豆大島、47都道府県制覇のために訪れた奄美大島沖縄本島、これら離島は鉄道が無い又は乏しいため路線バスでの移動をやむなくされた。首都圏でも、交通費をケチるために都営バスや西武バスの一日乗車券を使って路線バスを乗り継いでいく、という妙な行動をとったことがあった。その他にも、鉄道での旅をする中で沿線以外の地域に行くため、(竜飛岬、室戸、各種温泉地など)路線バスを使ったことは多々あった。

しかし路線バスというものは、「JR全鉄道路線完乗」という目標に貢献することがなく、かつ鉄道と比べて距離あたり著しく高額となる。そのため、制約ある学生時代には積極的に手をつけていなかったのである。

 

羽生駅で降ろされた時、私は夕方に東京での用事を控えていた。そこで思いついたのが「東京まで路線バスだけで行ってみるか」というのであった。しかし羽生駅からの路線バスは東京方と繋がっていなかったため、ひとまず東武動物公園までは鉄道で行き、そこから路線バスを乗り継いで行くことにした。

本庄のスーパービバホームで降ろされた時、路線バスですぐに向かえるのは群馬県伊勢崎市であった。そこで「別の都道府県まで路線バスで行ってみるのも良いな」という思いが芽生えた。実際にその時は、路線バスで伊勢崎との間を往復したものである。

 

……私はいつしか、路線バスで二地点を結ぶことに魅力を感じるようになっていた。

 

まず、二地点を結ぶルートを組むことで、「今度はここに行きたい」という思いを強制的に作り出し、「既知の場所の追認」(※前記事参照)という私の趣味を推し進めてくれる。これ自体は、「国内全鉄道路線完乗」「現存十二天守全訪問」「国内全市町村到達」といった既存の目標と同様である。

一方で路線バスならではの特徴の一つとして、いつ無くなってもおかしくないというのがある。運転士不足が叫ばれ、都市部でもバス路線の廃止や縮減が進む昨今、路線バス乗り継ぎという行為は難易度を上げつつある。今すぐに取り組まないと不可能になるかもしれない、これが私を動かす原動力となった。

そして路線バスというものは、鉄道・航空機・高速バスと異なり、都市間交通として用いられることが少なく、時間がかかるし本数も確保されていない。だからこそ、いつ廃止されるか分からないスリルと相まって、難易度が著しく高くやりがいがある行為なのである。

 

 

 

 

せっかくなら、他の人がやらないようなスタイルで

 

路線バス乗り継ぎというのは、鉄道旅と比べて著しくマイナーだが、それでもある程度の挑戦者がいる。テレビ東京では何年も番組をやっているし、私の好きな某YouTuberは稚内駅から枕崎駅まで27日かけて移動しているし、意外にも路線バス乗り継ぎをテーマとした書籍もある。

……じゃあせっかくやるなら、他の人がやらないスタイルでやろうじゃないか。

 

テレビ東京の番組はじめ、挑戦者の基本のスタイルは「スマホ等での調査は禁止、徒歩やタクシー(予算の制約あり)を併用して繋ぐ」である。

私は逆に、「タクシーは許容せず徒歩は最小限として、最適なルートを事前に計画してなぞる」というスタイルにした。

 

某YouTuberは、路線バスにより「日本縦断」を行った。

私はそうでなく、「東京駅から全国各地を繋ぐ」という進め方にすることとした。しかし時間があまりにもかかるため、社会人の私が一度で済ませるのは基本不可能であり、ルート上で適宜中断・再開を挟み何回かに分けて実行する形とした。

 

「都市間交通として用いられることが少なく、時間がかかるし本数も確保されていない」という点では内航旅客船も似ている。そもそも、全国を目指すと言ったって、北海道と沖縄は路線バスと徒歩だけでは渡れない(九州は徒歩で行け、四国も行けないことはない)。

そこで私は、路線バスをメインとしつつ、船も使って繋いでみることにした。

 

ただし、高速道路を経由するバスを許容しないというのは、一般的なスタイルと同じである。これを許容してしまうと、難易度が格段に下がってしまうので。

 

……ということで、

「路線バスと船だけで、東京駅から全国各地を目指す旅」

始まります。

 

 

 

記録していきます

 

「全国各地」と言いつつ、具体的には原則46道府県の代表駅を目指すこととした。加えて余裕がある場合、

政令指定都市の中心駅(川崎、相模原、浜松、堺東、小倉)

・県下人口一位の市の中心駅(郡山、高崎、近鉄四日市、下関)

・面積の広い道県における特定地方の中心駅(旭川、函館、苫小牧、帯広、釧路、北見、小樽、弘前、八戸、いわき、高岡、松本、姫路、米子)

をも目指す。

 

この計画の記録は、最長片道切符の旅の記録と違い

①目的地(一記事あたり2箇所目安)へのルート紹介

②①に絡むトピック(ルート選定基準、醍醐味等)

③①のルートの実際の遂行記録

を一つの記事で記す形とする。記事のカテゴリーも「雑」「旅」の抱き合わせとする。

 

……それでは、次の記事での前橋駅高崎駅へのルート紹介から、始めていきましょう。