どこかの元T大生の思考

不定期です。旅行と考えることが好きな元T大生が、たまーに駄文を公開します。旅の記録を語る[旅]、何かに対する見解や主張をぶつける[論]、自分の生き方について思いを巡らせる[憂]、趣味などについて書き散らす[雑]の4つのカテゴリーで。

[雑31]高速道路雑感

「高速道路」という存在、なかなか面白い。

 

 

4+αの種別

 

私という人間、鉄道の路線図系のオタクとして認識されている(と思う)が、実は高速道路網も好きな人間である。

その「好き」の表れが、小学生の頃に首都圏の高速道路のインターチェンジ(IC)・ジャンクション(JCT)の形状をノートに模写していたという、極めて謎な行動である。今考えてもあれは何の意味があったのか分からないが、当時から高速道路なる存在に魅了されていたってことは間違いない。

今回はそんな「高速道路」について、語ってみよう。

 

緑の標識で案内され、制限速度が一般道より高く設定されている。有料区間の管理主体は基本的にNEXCO。多くの人にとって、日本の「高速道路」はこのような共通の認識があるだろう。

しかしこの「高速道路」、法令上は明確に複数の種別が存在する。

 

高速自動車国道(A路線)

高速自動車国道法第4条に基づく「高速自動車国道の路線を指定する政令」でその路線を指定されたもの。

無料の新直轄区間を除き、管理主体は原則NEXCO

国土開発幹線自動車道」と、「高速自動車国道として建設すべき道路の予定路線(国土開発幹線自動車道の予定路線を除く)のうちから、政令でその路線を指定したもの」に分かれる。前者は第一東海自動車道東名高速道路)や常磐自動車道など、後者は成田国際空港線(新空港自動車道)・関西国際空港線(関西空港自動車道)・関門自動車道・沖縄自動車道の4路線が該当。

 

高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路(A’路線)

本来高速自動車国道で整備されるべき路線のうち、一般国道の整備が急務となっている一部区間を先行整備した道路。すなわち「高速自動車国道」とは違う「自動車専用道路」だが、一方で「高速自動車国道」に編入されることもある。

有料区間NEXCO管理が多い。

有名どころだと、京葉道路宮野木JCT以南や名阪国道が該当。

 

国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路一般国道の自動車専用道路)(B路線)

道路法第48条の2に基づき、国土交通大臣が指定した道路。「自動車専用道路」であり、一般国道のバイパス扱い。

有料区間NEXCO管理が多いが、一部(仙台松島道路など)「地方道路公社」が管理する部分もある。

首都圏中央連絡自動車道圏央道)や東海環状自動車道などが該当。圏央道東名高速常磐道高速自動車国道)とは明確に異なる存在なのである。

 

本州四国連絡道路

その名の通り。「自動車専用道路」。

NEXCOではなく、JB本四高速が管理する。

神戸・鳴門ルート(神戸淡路鳴門自動車道)と児島・坂出ルート(瀬戸中央自動車道)と尾道今治ルート(西瀬戸自動車道)が該当。

 

以上4種別は「高規格幹線道路」となる。1種別が「高速自動車国道」、3種別が「自動車専用道路」。これらが「高速道路」であることに、疑いは持たれないだろう。

 

ただし「自動車専用道路」には、上記の「高規格幹線道路」の3種別のほか、以下の2種別も存在する。そして「自動車専用道路」における案内標識は原則緑色であり、したがって「高規格幹線道路」であるか否かにかかわらず、青色の一般道とは異なる存在「高速道路」として認識されてもおかしくはない。

 

地域高規格道路」に指定されている自動車専用道路

首都高などの都市高速道路や、第三京浜横浜横須賀道路など。

都市高速道路NEXCOが管理せず、首都高速道路株式会社・阪神高速道路株式会社あるいは地域道路公社が管理する。都市高速道路以外の有料区間であれば、第三京浜のようにNEXCO管理のものと、常陸那珂道路(茨城県道路公社)のように地域道路公社管理のものが併存する。

 

・その他の自動車専用道路

京葉道路宮野木JCT以北・箱根新道など。

上に同じく、有料区間に関してはNEXCO管理のものと地域道路公社管理のものが併存する。

 

……さて、「有料区間は」という文言がたびたび登場しているが、これは公道無料区間については国道の指定区間なら国、国道の指定区間外あるいは都道府県道なら都道府県あるいは政令指定都市市町村道なら市町村が管理する、と決まっているからである。これに対して公道有料区間は通行料金の収受があるので、公要素の強い企業が登場するのである。(確証はないけど、たぶんそういうこと。)

(ちなみに私道かつ一般の交通の用に供される道路は、道路法でなく道路運送法上の「一般自動車道」に該当する。東京高速道路、通称KK線はこっち。)

 

……ややこしいんじゃあ!!!!!

 

 

「路線名」と「道路名」

 

鉄道で「埼京線」というのがあるが、厳密には「埼京線」という名称の路線は存在せず「埼京線」は運転系統の名称に過ぎない、これと似た現象が高速自動車国道の世界でも起きている。

すなわち高速自動車国道では、「路線名」と「道路名」が違うのである。

 

例えば、「東名高速」として一般に知られる道路。これの道路名(通称名)は「東名高速道路」だが、政令で定められた路線名(正式名)は「第一東海自動車道」である。同じく、「新東名高速道路」が「第二東海自動車道横浜名古屋線」に対応する。

他の例だと、「東北自動車道」は「東北縦貫自動車道弘前線」だし、「関越自動車道」は「関越自動車道新潟線」。「東京外環自動車道」に至っては、「東北縦貫自動車道弘前線」と「常磐自動車道」と「東関東自動車水戸線」に分かれる。

 

……ややこしいんじゃあ!!!!!

 

 

自動車専用道路の番号

 

東海道の大半が1号、東京郊外を環状に結ぶのが16号など、一般に「国道」と言われて想起される道路に番号があるのは周知の事実だと思う。この一般に「国道」と言われて想起される道路、法令上は「一般国道」という名称なのだが、「高速自動車国道」でない国道はすべて「一般国道」となる。

すなわち「自動車専用道路」も、国道であれば「一般国道」に該当する。そして「一般国道」にはすべて番号があるので、当然「自動車専用道路」も国道であれば番号がある(都道府県道であっても然り)。

例えば分かりやすいのが、京葉道路穴川IC以西の「14号」であろう。国道14号と言えば、東京と千葉を結ぶ国道である。

 

近年になって、日本の高速道路にもナンバリングが導入された。このナンバリングは「アルファベット+数字」が原則であるが、自動車専用道路の場合、この高速道路ナンバリングの数字と、一般国道としての数字が一致しないことがある。

 

京葉道路穴川IC以南 一般国道16号、高速道路ナンバリングはE14

首都圏中央連絡自動車道圏央道) 一般国道468号、高速道路ナンバリングはC4/E66

第三京浜 一般国道466号、高速道路ナンバリングはE83

 

……ややこしいんじゃあ!!!!!

 

 

高速道路上の施設の名称

 

私の独自研究によると、インターチェンジ(IC)・スマートインターチェンジ(SIC)・ジャンクション(JCT)・サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の名称については、どうやら「建設時の自治体の名称」が使われることが多いようである。

 

例えば、開通以降に自治体の合併と施設の新設が相次いだ、常磐道谷和原ICから友部JCTまで。

谷和原IC 谷和原村(建設)つくばみらい市

・つくばみらいSIC(建設中) 谷和原村つくばみらい市(建設)

・谷田部IC 谷田部町(建設)つくば市

・つくばJCT 谷田部町つくば市(建設)

・谷田部東PA 谷田部町(建設)つくば市

・桜土浦IC 桜村/土浦市(建設)つくば市/土浦市

・土浦北IC 土浦市(建設)土浦市

・千代田PA 千代田町(建設)かすみがうら市

・千代田石岡IC 千代田町/石岡市(建設)かすみがうら市/石岡市

・石岡小美玉SIC 石岡市/美野里町→石岡市/小美玉市(建設)

美野里PA 美野里町(建設)小美玉市

・岩間IC 岩間町(建設)笠間市

・友部SA/SIC 友部町(建設)笠間市

・友部JCT 友部町(建設)→笠間市

なお、友部JCTでは北関東道と交わるが、その北関東道にある桜川筑西ICは岩瀬町/協和町桜川市/筑西市(建設)

……市町村合併の影響が露骨に表れている。谷田部JCTとか笠間東JCTとかの可能性もあったわけで。「桜土浦」を見て「なに『桜』とかつけてかっこつけてんだよ」とか思っちゃった15年前の自分よ、別にこの「桜」はかっこつけじゃねえんだわ。

(ちなみに「土浦北IC」に見られるように、方角は地名の後につけるのが基本。また、境界近くにある場合など、複数自治体の名前をつけることがかなり多い。)

 

この法則により、以下のような面白い現象が生じる。

 

・北上金ヶ崎IC/北上江釣子IC(東北自動車道

建設当時、金ヶ崎町と江釣子村があった。そのうち江釣子村のみ、北上市の一部となった。そのため現在では、北上金ヶ崎ICは北上市と金ヶ崎町の境界にある一方、北上江釣子ICはがっつり北上市内にある。

 

・仙台宮城IC(東北自動車道

「前橋群馬」「高松香川」のような調子に乗った名前のようだが、実は建設当時ここには「宮城町」という自治体があり、そのためこのような名前となった(現在は全域仙台市)。なお「宮城」はもともと郡名であり、これの亜種が児玉郡/本庄市本庄児玉IC(関越自動車道)や都賀郡/栃木市の栃木都賀JCT東北自動車道/北関東自動車道)。

 

・更埴IC/更埴JCT(長野自動車道)

昔ながらの地名は「屋代」、現在の自治体名は「千曲市」だが、建設時は「更埴市」だったのでこうなっている。「更埴」なんて「更級」と「埴科」の合成地名だし、一つのインターチェンジに使うには不適切と思われるチョイス(悪口)。

 

・荒川胎内IC(日本海東北自動車道

荒川町/中条町→荒川町/胎内市(建設)→村上市/胎内市(供用開始)。なお隣は中条IC(建設時はまだ胎内市でなく中条町)。絶妙。

 

ただし、やはり例外はかなりある模様。それがまた面白い現象を起こしている。

 

・横浜青葉IC/JCT東名高速道路

「青葉」は行政区の名前ではあれど、それは横浜市の一部であるし、「青葉」という他の自治体が存在したわけではない。隣の横浜町田ICとの大きな違い。

(なお横浜町田ICは当インターチェンジの供用開始に合わせて「横浜IC」から改名した。インターチェンジの改名は相当珍しいはず。)

 

・姉崎袖ヶ浦IC(館山自動車道

かつて市原郡姉崎町があったが、建設時には既に市原市であり、現に隣のインターチェンジの名称は市原IC。しかしながらここは「市原袖ヶ浦」でなく「姉崎袖ヶ浦」となっている。なお「姉崎」は「あねさき」であり、駅名にある「あねがさき」ではない(同様の事案が「米原」でも起こる)。

 

・佐原香取IC(東関東自動車道)

仙台宮城ICや本庄児玉IC同じく、代表的自治体名(佐原)の後に郡名(香取)を入れたパターンだが、建設当時「香取」という名のついた自治体は無かった香取神宮知名度ゆえに入れたのだろうか。その後佐原市香取郡の周辺町と合併し「香取市」となったが、このインターチェンジは相変わらず自治体の名を冠していることとなる。

 

・塩沢石打IC(関越自動車道

建設当時、既に石打村は塩沢町に吸収されていた。しかし「石打」にスキーリゾートとしてのイメージがあったからか、「塩沢IC」にはならなかった。なお現在は南魚沼市

 

・飯田上久堅・喬木富田IC(三遠南信自動車道

異常な長さの名前。今ある「飯田市」「喬木村」に、各自治体の地区名を加えたもの。「上久堅」は昭和大合併以前に村の名称として存在したが、「富田」は存在したことがないっぽい。

 

・東部湯の丸IC、上田菅平IC(上信越自動車道

湯の丸」「菅平」は自治体名ではなかった。高原地帯として知られており、そこへのアクセスが良いよーという意味を込めて付けたのだろうか。西那須野塩原IC、黒磯板室IC(東北自動車道)も同じ匂いを感じる。

 

・琴丘森岳IC(秋田自動車道

鹿渡町/森岳村→琴丘町/山本町(建設)→三種町。目まぐるしく変わる自治体名。「琴丘山本」でも「鹿渡森岳」でもなく「琴丘森岳」にしたのは何故だろうか。

 

・諏訪南IC(中央自動車道

諏訪郡の南」であり、諏訪市にはかけらもかすっていない。紛らわしいことこの上ない。

 

……いろいろあるねえ。

 

 

異常道路・京葉道路

 

国道14号区間国道16号区間があるし、一般道区間と自動車専用道路区間があるし、その境界「京葉口」は謎の場所にあるし、自動車専用道路区間はA'路線区間とただの自動車専用道路でしかない区間があるし、終点は特に目立たずにそのままA路線の館山自動車道に入っちゃうし、有料道路のはずなのに無料の区間があるし。

 

 

面白い構造のICとJCT

 

語ったらキリがないので割愛しましょう。

 

 

高速道路オタクと語り合いたい。